誤解だらけのリフォーム/一級建築士Yuuこと尾間紫のブログ

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意外とある!工事中の愛犬トラブル!~リフォームの現場から

リフォームは住みながら工事することが多いので、住んでいる人はもちろん、ペットたちにも負担がかかります。数多くのリフォームの現場に携わり、そこで見たこと聞いたことを綴る「Yuuのリフォームの現場から」今回は工事中の愛犬のトラブルです。

犬のリフォームトラブル

我が家でも室内で犬を飼っていました。動物は神経質なので工事中にトラブルが起きやすい状況にあります。
動物と暮らせる家?変わってるねと言われた1990年代

ペットと暮らす家づくり。今では当たり前のように言われていることですが、私がこの業界に入ったころは、動物は家の外で飼うのが当たり前で、家の中で飼う犬は座敷犬と呼ばれる特別な存在でした。

お世話になった設計事務所からリフォーム会社に入ったのが1990年。とにかく動物が好きな私は、社内報で新人の抱負を述べる欄に「私の目標は動物と幸せに暮らせる家を作ること」と書き、周囲から「変わってるねー」とか、「ムツゴロウの人」などと言われたりしたものでした。

子どもの数よりペットの数のほうが多い時代

しかし今やペットの数は急激に増え、現在では子どもの数より多い時代です。また2000年ころから室内での飼育が増え、ペットは家族の一員としての存在となりました。もはや、ペットと暮らす家づくりを笑う人は居ないでしょう。

私も数多くペットと暮らす家を手掛け、ブリーダーさんの家の産室の設計に携わる機会を頂くなど、動物好きな私にとってはいい時代でもあります。

もちろんわが家にも動物たちがいます。何より動物の顔と名前はすぐに覚えられる、そしてすぐに仲良くなれるという特技は、現場でもとても役立ちました。

元気はつらつ、フレンドリーな犬が意外な事態に

しかし動物たちは繊細です。住みながらのリフォームは家の中が工事現場になるため、家の中に知らない人が出入りし、大きな音がします。人間には気付かない臭いもたくさんすることでしょう。

人間ですら、リフォーム中に3kg痩せたわと言う人もいるほどですから、人間よりはるかに繊細な動物たちは、ストレスで体調を崩してしまうことも少なくありません。

ある現場で、とてもフレンドリーな犬がいました。ビーグル犬で誰にでもよくなつき、大きな音にもびくともしない。いつも元気はつらつで、これなら大丈夫!と思って工事が進められたのですが、意外なことで思わぬ事態に陥ったのです。

庭が無い!?衝撃のその瞬間

その家のリフォームは、庭を掘って地下車庫を作り、また埋め戻すという工事でした。ユンボと呼ばれるパワーショベルで一気に土を掘り、庭はきれいさっぱり無くなりました。

その後はコンクリートで車庫を作り、その上にまた土を敷いて、芝生を植えるという作業なのですが、今日はここまで!と思ったところ、サッシの向こう側で犬がぶるぶると震えているのです。

と、思った瞬間!おなかを壊して、あんなに元気だった犬がその場にへたりこんでしまいました。

ショックでへたりこんだままの犬

急いで獣医のところへ連れていったのですが、原因は心因性のもの、ストレスからくる症状だろうとのこと、とにかく庭が見えない部屋に静かに居させるようにとのことでした。

実はその庭はその犬にとって、毎日欠かさず臭い付けをして、一生懸命守ってきた大事な大事なテリトリーでした。それがあっという間に消えてしまい、ショックを受けたのでしょう。犬にとってテリトリーはとても大事なものだそうで、一瞬ですべてのテリトリーを失ってしまった犬は、かなりのストレスを受けただろうとのことでした。

庭を見た瞬間の犬の驚きの顔と、悲壮な声をあげていた姿が忘れられません。本当に悲しそうな顔で床にペタンとへたり込んでいたのです。

マーキングした芝生は枯れやすいのでご注意、犬のおしっこは肥料になりません

その後、ほどなく庭を埋め戻し、犬にそっと庭を見せたところ、最初は恐る恐るでしたが、すぐに元気になり、今まで以上に臭い付けに励むようになりました。

動物たちは人間が思う以上に繊細で、私たちが想像もしないところでストレスを感じていることがあります。工事中は、ペットたちには細心の注意を払ってあげたいものです。

ちなみに犬が臭い付け、つまりおしっこでマーキングした部分の芝生は枯れやすくなります。犬のおしっこはそのままでは肥料にはなりません。その家の庭も、前にも増して茶色い枯れた芝生が増えました。

対策は庭をタイル貼りにして水を流せるようにすることなどがありますが、手軽にできるのがマーキング後にすぐに水をたっぷり掛けることです。お困りの方はお試し下さい。

初出2013.12.08