誤解だらけのリフォーム/一級建築士Yuuこと尾間紫のブログ

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ワールドインテリアデイ-World Interiors Dayが日本で発進!

10月20日東京ミッドタウン・デザインハブ内、インターナショナル・デザイン・リエゾンセンターにて、「World Interiors Week in JAPAN」記者発表会がありました。主催は、私も正会員として所属している公益社団法人日本インテリアデザイナー協会(JID)、そしてグッドデザイン賞でお馴染みの公益財団法人日本デザイン振興会(JDP)です。

 

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World Interiors Dayとは、国際インテリアアーキテクト/デザイナー団体連合(IFI)が定めたインテリアデザインを啓蒙するための記念日で、今から13年前にスタート。5月の最終土曜日をその日として、世界中でインテリアについての様々なイベントなどが行われています。IFIは簡単に言えば、インテリアデザイナーの国際組織で、加盟国110か国、会員総数は約270,000人を超えています。

 

記者発表会では、JID理事長の喜多俊之氏、IFI前エグゼクティブボードメンバーの橋本修氏、JDP常務理事の青木史郎氏の登壇があり、日本のインテリアの現状と今後の展開に関するお話しがありました。

 

日本でのWorld Interiors Dayの展開は、1日だけではなく5月の最終週をWorld Interiors Weekと定めて、日本中でインテリアデザインと暮らしを考えます。

 

テーマは「INTERIORS INTELLIGENCE」、会期は2016年5月23日(月)~5月29日(日)の7日間で、東京ミッドタウン・デザインハブをメイン会場として、東京、横浜、名古屋、大阪、神戸、福岡など国内各地で、シンポジュームやセミナー、企画展などのイベントの同時開催を予定しています。つまりインテリアのお祭りが日本中で行われるということ!

 

とにかく今の日本はアジアの中でもインテリア後進国になりつつあるとのこと。World Interiors Week 2016 in JAPANが、日本のインテリアデザインの向上や、産業の活性化の推進力になるのではと期待しています。

 

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女性目線の賃貸リノベーション

ご縁があって、事業者向け月刊誌「月刊不動産」という雑誌に、リノベーションについての原稿を2回にわたって書かせていただくことになりました。

今、賃貸業界は空室対策のために様々な取り組みを行っています。ただ古いだけのアパートにはあまり魅力はありませんが、そこに誰かのニーズを満たす付加価値が存在すれば、それは魅力ある物件として再生することができます。

今回の記事では、実際にリノベーションによって全室満室を実現した2つの事例をご紹介しながら、消費行動におけるキーパーソンとなる女性心理についてご紹介しました。

様々な場面において、女性が「住」の方向性を主導する時代なのだと、日々実感させられています。

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タンスの角に小指をぶつける家

背の高い外国人が日本に来て、低い鴨居の下を毎日背中を丸めてくぐっていたら、いつの間にか猫背が癖になってしまった、そんな話があります。

家は人の習慣や家族関係を変えてしまう程の大きな影響力を持っています。例えば、夫婦関係は寝室のプランに大きな影響を受けていますし、夕食の品数はキッチンのプランに、親子関係は子ども部屋の位置や作り方に、そしてこの先の健康と安全も家の作りに大いに関係しています。

 

最近、タンスの角によく小指をぶつけるようになったと言う人がいました。小指は身体感覚のズレがあり、身体の中でもぶつけやすい個所と言われていますが、その家をよく見てみると、その間取りに原因がありました。

その家では、ベッドから降りてトイレに到着するまでの途中にタンスが置いてありました。年を取るとトイレに行く回数が増えます。夜中に起きて暗い中そろそろと歩いて行ったり、朝起き抜けの寝ぼけた状態でふらふらと移動したり。

明るい時にはなんともなかったものが、夜間や早朝には足の小指はもちろんのこと、やもすれば身体をぶつけてしまう可能性もある危険な道のりになっていたのです。そこでタンスの置き場所を少しずらし、トイレまでの移動経路に掛からないようにしたところ、それ以来小指をぶつけることがなくなりました。

 

ベッドからトイレまでの道筋の途中に段差や階段、タンスなどのでっぱりがあるのはケガのもとです。他にもよく見かけるのが、キッチンのシンクからテーブルまでの距離が遠く、途中に腰をぶつけやすいカウンターがある家です。配膳の際には熱い汁ものを持って移動することもあるので、年をとったらできるだけ近いほうが安全に便利に暮らせます。

同じように洗濯機から物干し場までは、たくさんの濡れた洗濯物を抱えて歩くので足元が見えにくく、高齢者には危険な道のりになります。

 

困るのは段差や階段だけではありません。以前、私が足のけがで、1年ほど車いすで生活していた時に苦労したのが、奥が行き止まりになっている対面キッチンでの作業でした。

キッチンに車いすで入っていくと、Uターンできないのでバックで戻る必要があります。しかしキッチンの上には包丁や火に掛かった熱い油があり、そんな中で慣れない車いすをバックさせるのはとても怖いことでした。

もし奥が行き止まりでなく、洗面所や廊下につながっていれば、向こう側にすっと抜けることができたでしょう。キッチンの周りを行き止まりなく、ぐるぐる回ることができたら、もう怖い思いをしてバックする必要もありません。

 

家の作りのちょっとした差で、小指をぶつけやすかったり、これからもずっと安心に暮らせたり。家のカタチが人の暮らしに与える影響は想像以上に大きなものなのです。